プロフェッショナルIPv6 第2版

プロフェッショナルIPv6 第2版

通常価格 ¥5,000(税込¥5,500) 特別価格

IPv6対応が気になるすべてのITエンジニアのための改訂版

  • 小川晃通 著
  • 492ページ
  • B5判
  • ISBN:978-4-908686-11-5
  • 電子書籍の形式:PDF(ユーザー登録でEPUBが取得可能)
  • 2023年3月1日 第2版第2刷 発行
    • 2018年7月20日 第1版第1刷 発行
    • 2021年12月20日 第2版第1刷 発行
  • 正誤情報

IPv4なら何となく知っているし、アドレスが長くなるだけだから、いまさら500ページ近い本を読む必要はない」という方にこそ頭から読んでみてほしい、IP層として必要な機能をすべて取り込んだ複雑で高機能なIPv6プロトコルの全体像。プライベートアドレスやNATを前提として運用されているIPv4と、それらがないIPv6の両方を深く知ることではじめて説明できる、リアルな現在のインターネットの姿。NTT NGNにおけるIPv6インターネット接続についても付録にて詳解。

本書は2018年7月に発行した『プロフェッショナルIPv6』の改訂版です。

本書の主なトピック

  • さまざまな種類のIPv6アドレス
  • IPv6ヘッダ拡張IPv6ヘッダによるパケット転送
  • リンク層のアドレス解決のための近隣探索と、ホストに対するアドレス自動設定
  • それらを支えるICMPv6と、DHCPv6
  • IPv4とのデュアルスタックを支えるDNS
  • IPv4アドレス在庫枯渇でもインターネットが使えるのは
  • IPv6とIPv4との共存技術
  • いかにしてNTT NGNからIPv6インターネットに接続できるようになったか

第1版から第2版への主な更新内容

  • 第Ⅰ部にIPv6 のダイジェストを新設
  • IPv4 アドレス在庫枯渇への対策という視点のうち、「IPv4 上での解決」にまつわるトピックを第Ⅳ部に集約
  • 図を全体的にブラッシュアップ
  • IPv6 パススルーとRA Proxy を解説した付録Bを新設
  • 各種RFCの改訂に追随
    • IPv6 における逆引きDNSに関するRFC 8501
    • RFC 8585へのrefer を追加
    • RFC 8504でRFC 8106がMUSTに変わったことを紹介
    • STUN RFC更新に追随。RFC 5389→RFC 8489
    • RFC 8415(DHCPv6)に対応
    • SIIT RFC更新に追随。RFC 6145→RFC 7915
  • 説明を追加および補強
    • リンクローカルアドレスの説明を追加
    • Temporary IPv6 アドレスと、preferred/valid-lifetime の説明を補強
    • インターフェースに複数のIPv6 アドレスが設定される状況の例示
    • ULAの説明を補強
    • RFC 4007に関連する説明を補強
    • on-link に関連する説明を補強
    • IPv4 ヘッダとIPv6 ヘッダの比較説明
    • IPv4 NATの仕組み解説
    • 廃止されたIPv4-Compatible IPv6 アドレスの説明
    • NAT66に関して
    • RFC 8106にあるRNDSSでのリンクローカルアドレスに関して
    • RFC 4864にあるNATのSFI についてコラムを追加
    • IPv6 アドレスのテキスト表記の名前に関するコラムを追加
    • IPv5 に関するコラムを追加
    • 付録AのVNE事業者情報を更新

電子書籍の無償配布公開について

本書の第1版である『プロフェッショナルIPv6』は、株式会社日本レジストリサービス様、BBIX株式会社様、NTTコミュニケーションズ株式会社様、日本ネットワークイネイブラー株式会社(本書第1版発行時。現在は株式会社JPIX)様、クラウドファンディングでの皆様によるサポートにより実現しました。IPv6に関する技術情報を広く公開するという趣旨に賛同いただき、執筆と制作、公開にあたって多大な協賛をいただいたことで、本書の第1版は無償でどなたでもご覧いただける形で配布できました。

第2版についても同様に無償での電子書籍配布をしています。

BOOTHの機能により、価格を自由に上乗せしていただく(ブーストする)ことも可能です。BOOTHにてブーストしていただいた金額はすべて小川晃通(あきみち)氏個人にわたります。

執筆者紹介

小川晃通

慶應義塾大学にて博士(政策・メディア)取得。各種TCP/IP 解説書執筆。書籍執筆やライターとしての仕事の他に、IT 系エンジニアとしてプログラミングでの受託開発や、コンサルティング、講演等も行う。慶應義塾大学にて博士(政策・メディア)取得。『インターネットのカタチ』『マスタリングTCP/IP OpenFlow 編』(オーム社)、『アカマイ知られざるインターネットの巨人』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『ポートとソケットがわかればインターネットがわかる』(技術評論社)、『Linux ネットワークプログラミング』(SB クリエイティブ)、『徹底解説v6 プラス』(ラムダノート)の著者/共著者。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/geekpage
技術系ブログ「Geek なぺーじ(http://www.geekpage.jp/)」管理人

目次

序文

第I部 インターネットとIPv6の概要

第1章 インターネット概要
 1.1 IPはパケット交換技術
 1.2 層に分かれるネットワーク
 1.3 トランスポート層の役割
 1.4 オープンなプロトコルとRFC

第2章 IPv6概論
 2.1 IPv6アドレス
 2.2 IPv6アドレスのテキスト表記
 2.3 IPv6アドレス体系
 2.4 IPv6におけるユニキャストアドレスの構成要素
 2.5 IPv6基本プロトコル
 2.6 ICMPv6の役割
 2.7 近隣探索プロトコル
 2.8 IPv6アドレスの自動設定
 2.9 1つのネットワークインターフェースに複数の IPv6アドレスが設定される
 2.10 IPv6とIPv4の違い
 2.11 IPv6対応とは
 2.12 IPv6インターネットと IPv4インターネットを同時に使う
 2.13 IPv4とIPv6の共存技術

第II部 IPv6プロトコルとその周辺技術

第3章 IPv6アドレス体系
 3.1 IPv6アドレスの種類
 3.2 IPv6アドレス空間の使い方は IANAが管理している
 3.3 IPv6アドレスのスコープ
 3.4 IPv6ノードに要求される IPv6アドレス
 3.5 リンクローカルユニキャストアドレス
 3.6 スコープのゾーン
 3.7 グローバルユニキャストアドレス
 3.8 ULA(Unique Local IPv6 Unicast Addresses)
 3.9 IPv4-Mapped IPv6アドレス
 3.10 IPv4-Compatible IPv6アドレス
 3.11 例示用 IPv6アドレス.
 3.12 ユーザへの IPv6アドレス割り当て

第4章 IPv6パケットの構成
 4.1 IPv6ヘッダの各フィールド
 4.2 上位層でのチェックサム計算に使う仮想ヘッダ
 4.3 IPv6拡張ヘッダ

第5章 ICMPv6
 5.1 ICMPv6フォーマット
 5.2 ICMPv6エラーメッセージ
 5.3 ICMPv6情報メッセージ

第6章 近隣探索プロトコル
 6.1 近隣探索プロトコルの機能と利用するメッセージ
 6.2 ルータとプレフィックス情報の発見
 6.3 リンク層アドレスの解決と近隣不到達性の検知
 6.4 Redirectメッセージ
 6.5 近隣探索メッセージのオプション
 6.6 IPv6における on-linkと off-link

第7章 IPv6アドレスの自動設定
 7.1 SLAACの流れ
 7.2 小規模ネットワークにおける SLAACの利用例
 7.3 リンクローカルアドレスの生成
 7.4 SLAACにおけるインターフェース識別子の生成方法
 7.5 Temporary IPv6アドレス
 7.6 DAD(Duplicate Address Detection)
 7.7 グローバルアドレスの生成
 7.8 自動設定される IPv6アドレスの有効期間とステート
 7.9 Router Advertisementメッセージによる DNS情報の配送

第8章 DHCPv6
 8.1 IPv4の DHCPと DHCPv6の違い
 8.2 IPv4の DHCP
 8.3 DHCPv6の概要
 8.4 DUID
 8.5 ステートレス DHCPv6
 8.6 ステートフル DHCPv6
 8.7 DHCPv6-PD

第9章 IPフラグメンテーション
 9.1 IPv4におけるフラグメンテーション
 9.2 IPv6フラグメントヘッダ

第10章 Path MTU discovery
 10.1 Path MTU discoveryに関係する IPv4の機能
 10.2 Path MTU Discoveryに関係する IPv6の機能
 10.3 上位層プロトコルと Path MTU Discovery
 10.4 Path MTU Discoveryの仕組みを悪用した DoS攻撃

第11章 IPv6マルチキャスト
 11.1 IPv6のマルチキャストアドレス
 11.2 マルチキャストのスコープ
 11.3 Solicited-Nodeマルチキャストアドレス
 11.4 マルチキャストにおけるゾーン
 11.5 MLD(Multicast Listener Discovery)
 11.6 ルータを越えるマルチキャスト
 11.7 MRD(Multicast Router Discovery)
 11.8 リンク層でのマルチキャストアドレス

第12章 IPv6エニーキャスト
 12.1 IPv4におけるエニーキャスト
 12.2 IPv6のエニーキャスト
 12.3 IPv6サブネットルータエニーキャストアドレス
 12.4 ユニキャストとしての利用を避けるべき IPv6アドレス
 12.5 エニーキャストの注意点
 12.6 IPv6エニーキャストとBCP

第13章 IPv6におけるマルチアドレスとマルチプレフィックス
 13.1 IPv6アドレスの選択
 13.2 マルチプレフィックスによるマルチホームの問題
 13.3 IPv6サイトリナンバリング

第14章 IPv6とセキュリティ
 14.1 IPv6は IPv4よりもセキュアというわけではない
 14.2 近隣探索プロトコルとセキュリティ
 14.3 SEND(SEcure Neighbor Discovery)
 14.4 不正な Router Advertisementメッセージ
 14.5 DHCPv6-Shield
 14.6 IPv6アドレスとプライバシー
 14.7 IPv6サブネットに対するスキャン
 14.8 IPsec
 14.9 ICMPv6を無条件にすべてフィルタリングすべきではない
 14.10 トンネル技術が抱える問題
 14.11 IPv4-Mapped IPv6アドレスの問題
 14.12 ブラックホール用IPv6アドレス

第15章 プログラマにとってのIPv6対応
 15.1 Socket APIとIPv6
 15.2 単なるIPv6対応では不十分な場合
 15.3 Happy Eyeballs
 15.4 IPv6ソケットと IPv4-Mapped IPv6アドレス
 15.5 ポリシーテーブルの実装

第III部 DNSとIPv6

第16章 DNSの基礎とIPv6対応
 16.1 DNSの仕組み
 16.2 DNSサーバへの再帰問い合わせと反復問い合わせ
 16.3 DNSメッセージフォーマット
 16.4 IPv4と IPv6アドレスの問い合わせ例
 16.5 DNSの逆引き
 16.6 DNSメッセージのオクテット問題
 16.7 IPv6環境における DNSの運用上の注意点
 16.8 廃止された仕様

第17章 DNSによるデュアルスタック環境の実現と運用
 17.1 デュアルスタック環境の実現
 17.2 IPv6から IPv4へのフォールバック
 17.3 キャッシュ DNSサーバと CDNに関する問題
 17.4 デュアルスタック環境における SRVの利用
 17.5 IPv6 DNSホワイトリスティングとブラックリスティング
 17.6 アプリケーションの IPv6対応とデュアルスタック環境

第IV部 IPv4はどうなるのか

第18章 IPv4アドレス在庫枯渇とその解決策
 18.1 IPv4アドレスの在庫枯渇はどのような問題なのか
 18.2 IPv4アドレスの在庫枯渇の影響
 18.3 IPアドレス管理の階層構造から見た IPv4アドレスの在庫枯渇
 18.4 IPv4アドレス在庫枯渇の対策
 18.5 IPv4アドレス移転、IPv4アドレス売買、IPv4アドレス市場

第19章 IPv4アドレス共有技術
 19.1 NATとプライベート IPv4アドレス
 19.2 一般的な IPv4 NATの仕組み
 19.3 NAT機器に要求される挙動
 19.4 IPv4アドレス共有技術の課題

第20章 STUNとTURN
 20.1 STUN
 20.2 旧STUNにおけるNATの分類
 20.3 TURN

第V部 IPv4/IPv6共存技術

第21章 IPv4/IPv6共存技術の分類
 21.1 IPv4/IPv6共存技術のバリエーション
 21.2 ステートフルとステートレス
 21.3 IPv4/IPv6共存技術利用のパターン
 21.4 今後も多くの試みが誕生する

第22章 トンネル技術
 22.1 6to4
 22.2 Teredo
 22.3 ISATAP
 22.4 6rd
 22.5 4rd
 22.6 6PE
 22.7 トンネル技術とセキュリティ

第23章 IPv4/IPv6変換技術
 23.1 IPv4/IPv6変換の枠組み
 23.2 SIIT
 23.3 NAT64と DNS64
 23.4 IPv4/IPv6変換機用 IPv6アドレス
 23.5 ALG

第24章 IPv4/IPv6共存技術の運用形態
 24.1 DS-Lite
 24.2 Lightweight 4over6(lw4o6)
 24.3 A+P
 24.4 MAP-E、MAP-T、4rd
 24.5 CGNを利用して徐々に IPv6対応していく方法
 24.6 464XLAT

第25章 プロキシ方式
 25.1 HTTPプロキシ
 25.2 TRT方式
 25.3 SIP用 IPv6プロキシ

付録 A NTT NGNでの IPv6
 A.1 NTT閉域網 IPv6フォールバック問題
 A.2 NTT NGN IPv6マルチプレフィックス問題
 A.3 IPv6 PPPoEと IPv6 IPoE

付録 B IPv6パススルーとND Proxy
 B.1 NDパススルー
 B.2 ND Proxy
 B.3 IPv6パススルーやND Proxyとセキュリティ

第1版へのあとがき
第2版へのあとがき
クラウドファンディングにて本書第1版をご支援いただいた皆さま

索引